犬の十戒

 

私の一生は10~15年くらいしかありません。

ほんのわずかな時間でもあなたと離れていることは辛いのです。

私のことを飼う前にどうかそのことを考えてください。

あなたが私に望んでいる事を私が理解するまでに少しの時間をください。

私を信頼してください。

それだけで私は幸せです。

私を長時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。

あなたには仕事や楽しみがありますし、友達だっているでしょう。

でも、私にはあなただけしかいないのです。

時には私に話しかけてください。

たとえ、あなたのその言葉そのものがわからなくても、

私は全身であなたの言葉を理解しています。

あなたが私のことをどんな風に扱っているのか気づいてください。

私はそのことを決して忘れません。

私を叩く前に思い出してください。

私にはあなたも手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があるけれど

私はあなたを噛まないようにしているということを。

私のことを言うことをきかない、頑固だ、怠け者だと叱る前に

私がそうなる原因が何かないか考えてみてください。

適切な食餌をあげましたか?

日中、暑い外に長時間放置していたのではないですか?

心臓が年をとるにつれて弱ってはいないだろうか?などと。

私が年をとってもどうか世話をしてください。

あなたも私と同じように年をとるのです。

最期の旅立ちの時には、どうか、、そばにいて私を見送ってください。

「見ているのがつらいから」とか「私のいないところで逝かせてあげて」

なんて言わないでほしいのです。

あなたがそばにいてくれるだけで、私にはどんなことでも安らかに受け入れられます。

そして、どうか忘れないで下さい、私があなたを愛していることを・・・

 
 
 

虹の橋

 

天国の、ほんの少し手前に「虹の橋」と呼ばれるところがあります。

この地上にいる誰かと愛しあっていた動物は、死ぬとそこへ行くのです。

そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊んでいます。

そこでは、食べ物も水もたっぷりあって、お日さまはふりそそぎ、

みんな暖かくて幸せです。

病気だった子も年老いていた子も、みんな元気を取り戻し、

傷ついたり不自由なからだになっていた子も、元の元気なからだを取り戻すのです。

・・まるで過ぎた日の夢のように。

 

みんな幸せで満ち足りているけれど、ひとつだけ不満があるのです。

それは自分にとっての特別な誰かさん、

残してきてしまった誰かさんがここにいない寂しさのこと・・。

動物たちは、みんな一緒に走り回って遊んでいます。

でも、ある日・・その中の1匹が突然立ち止まり、遠くを見つめます。

その瞳はきらきら輝き、からだは喜びに震えはじめます。

突然その子はみんなから離れ、緑の草の上を走りはじめます。

速く、それは速く、飛ぶように。あなたを見つけたのです。

あなたとあなたの友は、再会の喜びに固く抱きあいます。

そしてもう二度と離れたりはしないのです。

幸福のキスがあなたの顔に降りそそぎ、あなたの両手は愛する友を優しく愛撫します。

そしてあなたは、信頼にあふれる友の瞳をもう一度のぞき込むのです。

あなたの人生から長い間失われていたけれど、

その心からは一日も消えたことのなかったその瞳を。

それからあなたたちは、一緒に「虹の橋」を渡っていくのです・・・。

 

けれど、動物たちの中には、様子の違う子もいます。

打ちのめされ、飢え、苦しみ、誰にも愛されることのなかった子たちです。

仲間たちが1匹また1匹と、それぞれの特別な誰かさんと再会し、

橋を渡っていくのを、うらやましげに眺めているのです。

この子たちには、特別な誰かさんなどいないのです。

地上にある間、そんな人は現れなかったのです。

 

でもある日、彼らが遊んでいると、橋へと続く道の傍らに、

誰かが立っているのに気づきます。

その人は、そこに繰り広げられる再会を、うらやましげに眺めているのです。

生きている間、彼は動物と暮らしたことがありませんでした。

そして彼は、打ちのめされ、飢え、苦しみ、誰にも愛されなかったのです。

ぽつんとたたずむ彼に、愛されたことのない動物が近づいていきます。

どうして彼はひとりぼっちなんだろうと、不思議に思って。

そうして、愛されたことのない者同士が近づくと、そこに奇跡が生まれるのです。

そう、彼らは一緒になるべくして生まれたのでした。

地上では巡りあうことができなかった、特別な誰かさんと、その愛する友として。

今ついに、この「虹の橋」のたもとで、ふたつの魂は出会い、

苦痛も悲しみも消えて、友は一緒になるのです。

彼らは共に「虹の橋」を渡って行き、二度と別れることはないのです。